Ch4-4 バリューチェイン

バリューチェイン分析のコンセプト

バリューチェイン分析は以下のようなコンセプトを持っています。

  • カスタマーバリューを生み出している企業が行う主要な活動を特定する。またはその主要な活動支えるのに必要な支援的な活動を特定する こと*カスタマーバリューとは:顧客が商品に支払った金額以上に、その商品に見出している価値の事。
  • 企業活動にどのようなコストがかかっているか・どのように低価格で提供しているかを深く観察すること
  • 企業がどのようにライバルの企業と差をつけて、高い価格でも受け入れられているかを明らかにすること

経営戦略の原則

近いライバルの企業よりも多くコストがかさむにつれ、企業は競争において脆弱になる。
逆にいうと、ライバルより低いコストでカスタマーバリューを提供できるなら、企業は競争においての脆弱さを緩和できる。
企業のコストにおける競争力は企業内部の活動だけでなく、供給会社や流通経路の協力会社のコスト構造にも関わる。

ライバルの企業のバリューチェインと比較する

バリューチェイン分析

ライバルの企業に対して、企業がどのくらい効率よく・効果的に顧客に対して価値を提供しているかを細かい活動ごとに比べていきます。

バリューチェイン分析のプロセス

まず、企業の『活動』を主活動(Primary activity)と副次的な活動(Secondary activity) に分別していきます。そして、その活動のに対してどのようにコストがかかっているかを特定します。
活動が分別できたら、活動基準原価計算 (Activity based costing) により活動を評価していきます。
そして、ライバル企業の『活動』にも同じことを行います。

企業内部のバリューチェイン活動を改善する

企業内部のバリューチェイン活動(価値を生み出す活動の連鎖)を改善するには以下のようなことが行われます。

  • とくに高いコストがかかっている活動を見直し、効率のよい方法とっていく
  • バリューチェイン(価値を生み出す活動の連鎖)を見直し、価値を生み出していないのにコストがかかっている活動を取り除く
  • 高いコストがかかっているものを安いコストでできるものに取って変える
  • 外注しているものが、企業内で安く行えないかを検討する
  • コストを抑えるような技術や改善方法、または生産性を強化するようなものに投資を行う
  • 高いコストがかかっている活動や物を避け迂回できるような道を見つける
  • より短い時間で、経済的に製造したり組み立てたりできるように製品のデザインを見直す

カスタマーバリューを生み出したり、他社と違いを強化するものを改善する

バリューチェイン活動を見直すには、なにもコストを安くするだけではありません。よりいっそうカスタマーバリューを生み出したり、他社との違いを強化することも重要です。それを行うには以下のようなことが行われます。

  • 『質』を生み出す高いコストがかかっている活動を見直し、効率よく効果的な方法をとっていく
  • イノベーションを生み出したり、デザインを良くしたり、創造性を強化するようなテクノロジーや方法を採用する
  • カスタマーサービスで効果的で効率のよい方法をとっていく
  • 顧客が思う価値や、なぜ顧客が買うかの基準を見直し、それを支える活動にリソースを回す
  • どのように企業の活動が仲介・卸業者のバリューチェインに影響を与えるかを、彼らにも理解してもらう
  • マーケティング・ブランド管理に効率の良く、効果的な方法を採用し、顧客の企業に対する良いイメージを強化する

供給に関わるバリューチェインを改善する

企業の供給(原材料などの購入)に関わるバリューチェインを改善するには以下のようなことが行われます

  • 供給企業に低価格を交渉する
  • 低価格の代替えのインプット(材料)に切り替える
  • 供給企業とお互いにコストを抑える方法がないかを共に協力し検討する
  • 供給企業と協力し、企業の商品差別化を強化していく
  • 高い質を持つものを提供してくれる供給会社を選び保持していく
  • 供給企業と協力し、顧客に望まれる商品の特徴やデザインを強化する
  • 供給企業が高品質の基準を満たすようにインセンティブをもたせたり、品質を改善する努力をアシストする

バリューチェイン分析のまとめ・解説

『価値』とコストについて

ある企業が100円でアイスクリームを売っています。企業は原料費・製造・マーケティングなどを含めてアイスクリーム一つあたり80円のコストがかかっています。
アイスクリームを買う人がそのアイスクリームに100円以上の『価値』があると思って購入します。
その、100円 – 80円 の20円がカスタマーバリューとなり企業のマージンとなります。
『価値』は簡単に一言で説明できるものではありません。人それぞれによって価値が違うからです。
例えば、そのアイスクリームが美味しい、100円以上の価値があると思って買う人もいます。
そのアイスクリームの形やトッピングがかわいい、インスタグラムに載せたいと思って買う人もいます。
夏の暑い日だったら、そのアイスクリームに200円、300円出してでも買いたいと思う人がいます。
バリューチェイン分析では、そのアイスクリームを作り提供する過程での活動がどのくらい『価値』を付与していくか、またその『価値』の付与にどのくらいコストがかかっているかを見ていくことになります。
例えばアイスクリームを作るのには牛乳が入りますよね?
その牛乳は遠く北海道から取り寄せています。運送の面でとてもコストがかかります。でも、アイスクリームを売るときに北海道産の牛乳を使っているということに顧客が『価値』を見出していれば、それは通常よりコストがかかっていても『価値』を生み出す活動と言えるでしょう。事実はどうあれ、顧客は北海道産の牛乳ならきっと他のものより美味しいと思って買うわけですよね。もしかしたら、実は近くの牧場の牛乳の品質も引けをとらず、『味』の面でも変わり映えしないかもしれません。そこから取り寄せたほうがコストが安く済む場合もあるかもしれません。
けれど、もしかしたらお客さんは『北海道産』というブランド力に惹かれて買っていたので、違うものに変えてしまえば『価値』が落ちるかもしれません。
アイスクリームのパッケージはプラスチック容器でできています。
そのプラスチック容器を遠く北海道から取り寄せています。とてもコストがかかります。顧客にとって、そのプラスチック容器が北海道産であろうが、東京産であろうが関係ないものであれば、それはただコストがかかっているだけで、特別な『価値』を付与している活動とは言えません。運送費が安い近場で取り寄せたほうが良いでしょう。
そういった企業の活動を一つ一つ細かく分け、本当に顧客が望む『価値』を生み出しているのか、コスト以上に『価値』を生み出しているのかを分析していくのがバリューチェイン分析です。

『価値』とそれを生み出す活動

アイスクリームの例で『価値』を生み出していた活動は、なにも原料の産地や容器のことだけはありません。
製造のプロセスやそれを支えるマネジメントも含まれてきます。
そのアイスクリームが100人の職人を雇って『手作り』でコストをかけ作るのか。
最新の機械を導入し、低コストでアイスクリームを作っているのか。
もし、顧客が『手作り』の宣伝文句に『価値』を見出して購入するのであれば、それはコストに見合った『価値』を生み出しているといえるでしょう。
もし、『手作り』と宣伝せずに顧客に『価値』が伝わってないのであれば、機械で低コストで生産したほうが良いでしょう。
上で話したように、バリューチェイン分析では、企業が行う『価値』を生み出す活動は複数ありそれが鎖(チェイン)のように連なっていると考え、一つ一つがコストに見合う『価値』を生み出しているかをみます。そして、直接製品の製造に関わるものだけでなく、それをサポートするような活動あります。例えば、人事マネジメントや開発マネジメントであったり。それらも本当にコストに見合った『価値』を生み出すのに役に立っているかを見ていくことになります。

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