Ch5-2 財務比率

利益に関わる財務比率: Profitability Ratios

粗利益率 (Gross margin ratio)

粗利益率は、商品を売ったときにいくら位の割合で利益がでているかを表しています。
単純な例で、作るのに60円かかったおまんじゅうを100円で売れれば、
売上高は100円
売上原価は60円
売上総利益 は40円 (総利益といってここでは簡単に説明するため一つのおまんじゅうですが)
粗利益率は、 (100円(売上高)ー60円(売上原価))/100円となり40%となります。
ここでいう売上原価とか英語ではCost of goods sold (COGS)などと呼ばれます。 業種によって算出などは細かく変わってくる場合がありますが。商品を生産したり、材料を購入したりするときに発生する費用、在庫に関わってくるものを指します。

営業利益率 (Operating profit margin)

先の売上総利益 から販売費用及び一般管理費ひいたものが営業利益です。
営業利益率は売上に対してどのくらいの営業利益がでているかを表します。
先の例で100円のおまんじゅうが1万個売れて
売上高は100万円
売上原価は60万円
とします。
おまんじゅうを作るには原材料だけでなく、売るためにも様々な費用が必要です。
蒸すための電気代や広告費やおまんじゅうを作る人へのお給料など。
そういったものを販売費及び一般管理費として区分します。
販売費用及び一般管理費が10万円だったとします。
営業利益は100万円ー60万円ー10万円で30万円となります。
営業利益率は
30万円/100万円で30%となります。

純利益率 (Net profit margin)

純利益(税引き後)/売上高
純利益率は税金が引かれた後利益が売上に対してどのくらいあるかを表します。

総資産収益率 (Total return on asset)

税引き後総資産収益率 (Net return on asset) ROA

純利益/資産
企業がもつ総資産に対してどのくらいの純利益が出ているかを表します。

自己資本利益率 (Return on stockholders’ equity)

純利益/自己資本
企業の自己資本に対してどのくらいの純利益がでているかを表します。
株式会社では株主がお金を出しあって会社を作ります。
自分がお金を出した分に対してどのくらいの利益が出ているかがわかる指標となります。
12%-15%が平均と言われています。もちろん業界や会社によって大きくことなる場合が多いです。

投資資本に対する利益率 (Return on Invested Capital (ROIC)

純利益/(長期負債+自己資本)
投資資本に対してどのくらいの利益がでているかを表します。
もし、高いリターンがでているなら長期負債をする効果が見られるということがわかります。

利益に関わる比率のまとめ

利益に関わる比率ではたくさんの会計で使われる用語がでてきました。
経営戦略で大事になるのは、ただ会計基準にのっとり区分するということではなく、どのように企業が最終的な利益を得るているかです。
例えば、もし売上高も高く粗利益率も高い水準なのに営業利益が少ないということであれば、販売管理費が高く付きすぎている、無駄な出費がおおいのではと分析することが大事になります。
もしくは、借りているお金が多すぎて、せっかく営業利益を出していても、負債の利子の支払いが高すぎて最終的な利益が減っている場合もあるかもしれません。
財務比率は、どこでコストがたくさんかかっているのかを見つけるのに役に立ちます。
また比率で表しているため、他の大きさの異なる企業と比べるのにも役に立ちます。

流動性に関わる財務比率:Liquidity Ratios

流動比率 (Current Ratio)

流動資産/流動負債
流動資産とは1年以内に現金化できる資産です。たとえば、売掛金・商品の在庫など。
流動負債とは1年以内に返さないといけないお金のことです。例えば、銀行から借りている短期で返さないといけない借金、買掛金、支払手形などです。
この数値は1(100%)以上でないと大変です。
1年以内に返さないといけないお金より、1年以内に現金にできるお金が少ないと困りますよね?
この安全圏は業種によっても変わってきます。小売業などでは多少数値が低くても、毎日現金が入ってくる場合は、お金のやりくりをなんとか行える場合がありますが、現金の回収が遅れる製造業などは手元にある現金に多少ゆとりがあったほうが良いでしょう。
この数値が2(200%)以上であれば安全の目安言われていますが、実際の平均はもっと低いです。
ただし、逆にこの数字が高すぎても、流動資産を有効に使っていないという可能性も考えられます。

営業資本 (Working capital)

流動資産 ー 流動負債
厳密に言うと比率ではありません。
企業が日々の業務で自由に動かせるお金を表しています。この営業資本がおおければ、
1)返さないといけないお金や支払わないといけないお金を遅らすことがない。
2)他からお金を借りたりせずに、より在庫を確保したりできる。

流動性に関わる財務比率のまとめ

企業にとってお金は大切なものです。
ただお金は持っているだけでは増えません。
そのお金で材料を買ってきて何かを作って売る、サービスを提供するということしなければ増えません。
その手元にある現金をなるべく有効に活用することが大切です。
ただし、借りているお金を返したり支払いをしたりとお金が必要になっています。
企業にとってはお金をなるべく最大限有効利用しつつ、必要なときに必要なだけ現金が手元にあるのが望ましいです。
私達の普段の生活でもそうですだと言えるかもしれません。お金そのものは生活に役にたちません。お金は使うことで役に立ちます。車を買えば移動が便利になります。エアコンを買えば夏でも涼しく過ごせます。
けれど、手元にあるお金を全部使ってしまうと、家賃を支払・電気代を支払うとき・急な出費があったときに困りますよね?
企業の場合必要な支払いがあるのに手元にお金がなく支払えないと最悪倒産となってしまいます。
流動性に関わる比率は、どのくらい安全な経営をしているか、そして、どのくらい手元にあるお金を効率よく使っているかを表しているといえるでしょう。

レバレッジ比率 :Leverage ratios

資産対する負債比率 (Total debt-to-assets ratio)

総負債/総資産
企業が総資産に対してどのくらいの借金をして企業活動を行っているかを表しています。
この割合が高いと、資産に対して借りているお金が大きくリスキーな活動をしていると言えるでしょう。

日本は他国に比べこの比率が高いと言われています。

資本に対する長期負債の比率 (Long-term debt-to-capital ratio)

長期負債/(長期負債+自己資本)
企業がどのくらい返済能力があるか(新たにお金を借りられる余地があるか)そしてバランスシートの強さを表しています。
割合が0.25以下であれば新しくお金を借りられる余地があるといえます。
0.5以上となると長期負債に頼りすぎて、新しくお金を借りられる余地が少ないといえます。

自己資本に対する負債の比率 (Debt-to-Equity Ratio)

負債/自己資本
先の比率と同じように、自己資本に対してどのくらいの割合でお金を借りているかを表します。(短期と長期の両方の借金を含む)
もし割合が1以下であれば、新しくお金を借りられる余地があるといえます。
もし割合が1以上であれば、それは自分が持っているお金(資本)以上にお金を借りていることになり、新しく金を借りられる余地がないといえます。

自己資本に対する長期負債の比率 (Long-term deb-to-equity ratio)

長期負債/自己資本
先の比率と同じように、自己資本に対してどのくらいのお金を借りているかを表します。
こちらは、長期の借金に対してです。

カバレッジ比率 (Times-interest-earned (or coverage) ratio

営業利益/利子の支払い (operating income/Interest expenses)
利子の支払いに対してどのくらいの営業利益を出しているかを表しています。
3以上であれば、新たにお金を借りられる信用度が高いといえます。
2以上がが最低限と言われています。例えば、100万円の営業利益があっても、利子で100万円払う。せっかくの『儲け』があったのに利子の支払いでなくなってしまうのは嫌ですよね?

レバレッジ比率に関するまとめ

そもそも、レバレッジとはなにか?
レバレッジとは英語で『てこ』をという意味です。シーソーとか、理科の実験で習ったあれです。
大きく重たいものでも『てこ』の力を使えば小さな力でも動かせますよね。
この『てこ』の考えはビジネスでも使われます。
例えば、A町で一匹100円で買えるお魚が、B町で200円で売れるとします。
儲けは一匹につき100円で、粗利益率は100%です!
あなたの手元には1000円あるので10匹買って売るとします

  • 売上高は200円×10匹で2000円
  • 売上原価は100円×10匹で1000円
  • 儲けは100円×10匹で1000円

です。
こんなに高く売れるのならもっと買って売りたいですよね?
でも、あなたの手元には1000円しかありません。
あなたに新しく1000円貸してくれる人があらわれます。
そうすると、あなたの手元には2000円あるので魚を20匹買うことができます。

  • 売上高は200円×20匹で4000円
  • 売上原価は100円×20匹で2000円
  • 儲けは100円×20匹で2000円

です。
本来は1000円しか手元になく10匹しか買えなかったのに、お金を借りてくることにより儲けを倍にできましたよね?
もし、もっとお金を貸してくれる人がいれば更に儲けを増やせますよね。
自分が持っているお金(資本)で動かせる以上のビジネスを、お金を借りてきて行う。
これがビジネスで言うレバレッジです。
でも、このレバレッジには危険はつきものです。
もし、お魚を買ってきたけど、途中で腐って売れなくなってしまったらどうしましょう?
手元にあった分1000円だけなら自分が持っていたお金しか損はしませんが、お金を借りていた場合、売れなくて儲けはなかったのに1000円返さなくてはなりませんよね。
自分が持っているお金(資本)以上のことを行うということは自分が持っているお金(資本)以上に損をする可能性があるということです。儲けるときと損をするときの振れ幅が大きくなると言えます。
レバレッジに関する比率は、
ただ単にあとどのくらいお金を借りれるかというだけでなく、
レバレッジをどのくらい利用しているか、または後どのくらいレバレッジをかけれる余地があるかとも言えるでしょう。
先のお魚を売る簡単な例と違い、実際はお金を借りてきた場合は利子を支払う必要があります。
借りてきたお金を返すことに加え、利子を払える分の儲けが必要になってきます。

企業活動に関わる比率 :Activity Ratios

Days in Inventory (DII)

平均)棚卸在庫/(売上原価/365(日))
在庫が売れるまで平均何日かかるを表しています。
日にちが少ないほど、在庫がよく売れ動いていると言えます。
日にちが多いと、在庫を必要以上に持ちすぎているか、あまりよく売れてないと言えます。

在庫回転率 Inventory turnover

売上原価/棚卸し在庫
上の比率とよく似ていますが、数字が高いほど、よく在庫が売れているといえます。
数字が低いと、在庫を持ちすぎているか、よく売れていないと言えます。

平均売掛金回収期間 Average collection period

売掛金/(売上高/365日)
平均売掛金回収期間とは以下の間の平均日数を表してます

  • 1)売掛金で売上が立つ
  • 2)その売掛金を現金で回収する。

日数が少ないほど、すぐに現金を回収し新たに使えるため良いです。
例えば、
売上金が2000万
一日あたりの売上が 2000万÷365 で約 5.5万円 
売掛金が200万だとすると
200万÷5.5万で約36.5日
およそ36.5日売掛金を回収するのに時間がかかっていることがわかります。
あまりに日が長いと、せっかく商品が売れても現金化できず、
その間は、現金を使えないということになってしまいます。
また平均売掛金回収期間は以下の式でも求められます。
365/売掛金回収回転率

売掛金回収回転率

その他の財務比率

1株あたりの株式の配当金 Dividend yield on common stock

1株あたりの配当金/現在の株価の値段
株主に対してどのくらいのリターンがあるかを表しています。
“典型的”な数字は2-3 %といわれます。
急成長が見込め、配当金を払うよりも今後の成長にお金を使っているような企業は1%以下やまったく払わないような企業もあります。

株価収益率 Price-to-earning (P/E) ratio

株価/一株あたりの純利益
アメリカではP/Eと表記されますが、日本ではPERと呼ばれることが多いようです。
例えば、
現在の株価 200円 (一株あたり)
会社がこれまで発行した株の数が40万株
今期の純利益は800万でした。
800万÷40万株で,
一株あたり20円の純利益がでている言えます。
それで現在の株価を割るとPERは10となります。
これは別の言い方をすると、1円の儲けを出すのに10円かかっている。(株を買っている投資家の目線で)
つまり、PERが低いほど効率が良いと言えます。
同じ例で株価が100円であったらPERは5となり、
1円の儲けを出すのに5円しかかかっていないことなります。

配当支払い率 Dividend Payout ratio

配当金支払額/当期純利益
売上から経費・税金などを引いた最終的な企業の利益(当期純利益)からどのくらい株主へのお金を分けるか(配当金)を表します。
企業は最終的な利益を、株を買って投資してくれた株主へ利益を還元するか、それとも、そのお金を設備投資など、今後の事業ために残しておくか(内部留保)を決めます。
株主を買うことが投資と呼ばれている理由は以下の2つです。
1)その株が買ったときより値段が上がるのを期待して。上がったときに売ればその分は儲けになる(キャピタルゲイン)
2)会社が儲かったときに、『分け前』をもらう権利がある(配当金)
基本的にはこのふたつのが株主の金銭的な利益になります。
もし、会社が儲かっているのに、この『分け前』を払らわなければ株主は怒りますよね?
そうなると、その会社持っていても意味がないということになり手放す人が増えるかもしれません。
手放す人が増えるということは株価が下がることにつながります。
もし、『分け前』を配らず残しておく(内部留保)するのであれば、何のために残すのか具体的な説明が必要です。
海外の企業とくらべ、日本企業の配当支払い率は低いといわれてます。
具体的なプランはないけれど、とりあえず残しておくと言うのは貯蓄好きな日本人の性格的なところも反映されているのかもしれません。

また配当の代わりに株主優待などありますが、これは日本独特なもので、アメリカの企業では基本的にありません。

株主優待は株主に株を手放す(売る)のをためらせる目的がありますが、海外からの投資家を募りたい場合、海外の投資家にとっては株主優待は使えないサービスなので有利な戦略ではありません。(サービスチケットなんかをもらっても海外にいるので使えない。)

Internal cash flow

税引き後の利益+減価償却
経費・利子・税金を支払ったあと、企業がどのくらいの『現金』を生み出しているかを表します。
減価償却費を足しているのは、減価償却は直接現金で出費ではない費用だからです。
このキャッシュフローは配当金を支払うか、今後の事業に投資するか(Capital Expenditure)に使われます。

フリーキャッシュフロー Free cashflow

税引き後の利益+減価償却-配当金-Capital Expenditure
経費・利子・税金・配当金・資本的な支出を行ったあと企業がどのくらい『現金』を生み出しているかを表します。
この最終的に残った自由に使える『現金』をどのようなことに使うかが戦略のカギにもなってきます。

  • 事業の拡大・新規事業
  • 株主への還元 (配当金を増やす・株を買い戻す)
  • 財務の見直し(借金の返済など)

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