前回の「その1」では、GitHubを使って事務所のパソコンとノートパソコンの間で作業を引き継ぐ方法を紹介しました。
GitHubは変更履歴を残し、万一のときに元へ戻せる大切な仕組みです。一方で、パソコンを切り替えるたびにpushやpullを行う必要があります。同期を忘れたまま両方のパソコンで変更すると、どちらの変更を残すか整理する「コンフリクト」が起きることもあります。
そこで今回は、ファイルをノートパソコンへ移さず、事務所のパソコンにあるCodexを外出先から使う「Codex Remote」を紹介します。例として、普段使っているMac miniへ、スマートフォンまたはMacBookから接続する場合を考えます。
GitHubでの引き継ぎは、なぜ手間がかかるのか
GitHubを使う方法では、Mac miniとMacBookがそれぞれ別の作業ファイルを持ちます。そのため、Mac miniで変更した内容をGitHubへpushし、外出先のMacBookでpullする必要があります。帰宅後にMac miniで続きを行うときは、反対方向の操作も必要です。
この方法は、作業の記録やバックアップに優れています。ただし、急いでいると同期を忘れやすく、両方のパソコンで同じファイルを変更した場合は整理が必要になります。
Codex Remoteは、この問題への考え方を変えます。ファイルを2台へ複製するのではなく、作業場所をMac miniに一本化し、外出先から同じ環境を操作します。
Codex Remoteは「同じパソコンを別の場所から使う」方法
Codex Remoteは、一般的な遠隔操作のようにMac miniの画面全体を小さく表示して、マウスを動かす仕組みとは少し違います。
外出先の端末からCodexへ仕事を頼むと、接続先のMac miniにあるプロジェクト、ファイル、設定、認証情報、MCP、スキルなどを使って作業が進みます。外出先では、指示、追加の質問、承認、変更結果の確認を行えます。
たとえば、YMWorksのAIエージェントがMac miniに保存されている場合、MacBookへエージェント一式を複製しなくても、そのMac mini上のエージェントへ続きを依頼できます。
ただし、Mac miniは電源が入り、インターネットにつながり、Codexアプリが動いている必要があります。
パターン1:スマートフォンからMac miniのCodexを使う
外出中に短い指示を出したいとき、進み具合を確認したいとき、承認待ちの作業へ回答したいときは、スマートフォンが便利です。
1.Mac miniを準備する
まず、普段作業しているMac miniでCodexアプリを開きます。
- Codexの設定を開きます。
- Connections(接続)を開きます。
- Control this Mac or PCから設定を始めます。
- 画面に従って接続を許可します。
- 必要に応じて、Mac miniが自動的にスリープしない設定を有効にします。
外出先から接続する間は、Mac miniの電源を入れ、インターネットへ接続し、Codexアプリを起動したままにします。


2.スマートフォンを接続する
スマートフォンには最新のChatGPTアプリを用意し、Mac miniのCodexと同じアカウント、同じワークスペースでログインします。
Mac mini側に表示された案内やQRコードを使って、スマートフォンとMac miniを接続します。接続が完了すると、スマートフォンからMac mini上のCodexタスクを選べるようになります。

スマホ側からでもRemote をセットアップすることができます。

接続が完了すればChatGPTアプリ内のメニューに 「リモート」という項目ができ、スマホのアプリを経由してMac mini内のAIエージェントに遠隔で指示を出すことができます。
3.スマートフォンから作業を始める
外出先では、いきなり変更を依頼する前に、まず現在の状態を確認すると安心です。
Mac miniにあるYMWorksエージェントの現在の状態を確認してください。完了している作業、まだ終わっていない作業、次に行うことを整理してください。私が確認するまではファイルを変更しないでください。内容を確認して問題がなければ、次のように作業を依頼します。
確認した内容をもとに、次の作業を進めてください。ファイルを変更した場合は、変更したファイル、変更内容、確認結果を最後にまとめてください。外部への送信や公開が必要な場合は、実行前に止まって確認してください。スマートフォンでは長い文章を入力しにくいため、最初に目的と「どこまで自動で進めてよいか」を伝えるのがポイントです。
4.承認と結果をスマートフォンで確認する
Codexが確認や許可を求めた場合は、内容を読んでから承認します。作業後は、変更内容、テスト結果、差分などをスマートフォンで確認できます。
GitHubへ保存する前に安全確認だけを依頼する場合は、次の文章を使えます。
今回変更した内容を確認してください。秘密情報、不要なファイル、意図しない削除が含まれていないか調べ、GitHubへ保存して問題ない内容か説明してください。私が確認するまではcommitやpushを行わないでください。パターン2:MacBookからMac miniのCodexを使う
外出先で長い指示を書きたいときや、変更内容を詳しく確認したいときは、MacBookから接続する方が使いやすくなります。
1.Mac miniを準備する
普段作業しているMac miniでCodexアプリを開き、外部から接続できる状態にします。
- Codexの設定を開きます。
- Connections(接続)を開きます。
- Control this Mac or PCから設定を始めます。
- 画面に従って接続を許可します。
- 必要に応じて、Mac miniが自動的にスリープしない設定を有効にします。
外出中も、Mac miniの電源、インターネット接続、Codexアプリの起動が必要です。

2.MacBookを準備して接続する
MacBookにもCodexアプリを用意し、Mac miniと同じアカウント、同じワークスペースでログインします。
MacBook側でCodexの設定を開き、Connections(接続)からControl other devicesを選びます。表示された接続先の中からMac miniを選び、案内に従って接続します。
1で生成された8桁のコードを入れることによって、Macmini側でのCodexアプリが認識されます。
この項目は順次提供される機能のため、アカウントによってはまだ表示されない場合があります。また、今後の更新で表示名や画面構成が変わる可能性があります。
3.MacBookから作業を始める
接続後は、Mac mini上のプロジェクトやタスクを選びます。最初に現在の状態を確認します。
MacBookは画面とキーボードが大きいため、長い指示を書く、複数のファイルの変更を見る、テスト結果を詳しく確認するといった作業に向いています。
4.MacBookで承認と変更結果を確認する
Codexが権限や実行内容の確認を求めた場合は、MacBook側で内容を確認して承認します。作業後は変更内容、ファイルの差分、テスト結果、ターミナルの出力などを確認できます。
Remoteは何でも自動的に許可する仕組みではありません。接続先のMac miniに設定した権限や確認ルールは、そのまま安全装置として働きます。
5.区切りのよいところでGitHubへ保存する
Codex Remoteを使うと、端末を切り替えるためのpushやpullは不要になります。それでもGitHubは、変更履歴とバックアップを残す場所として重要です。
作業の区切りで、まず保存してよい内容か確認します。
Mac mini上で変更した内容を一覧にしてください。秘密情報、不要なファイル、意図しない削除がないことを確認し、GitHubへ保存してよい内容か説明してください。まだcommitやpushは行わないでください。確認後、問題がなければ保存を依頼します。
確認した変更をcommitし、GitHubへpushしてください。完了後、保存した内容、対象ブランチ、エラーの有無を報告してください。スマートフォンとMacBookはどう使い分けるか
| 端末 | 向いている使い方 |
|---|---|
| スマートフォン | 短い指示、進み具合の確認、承認、外出中の応急対応 |
| MacBook | 長い指示、変更内容の詳しい確認、複数ファイルを扱う作業 |
どちらを使っても、作業場所はMac miniです。移動中はスマートフォン、落ち着いて作業できる場所ではMacBookという使い分けが現実的です。
Mac mini側のMCPやAPIキーはそのまま使える
Codex Remoteの大きな利点は、Mac miniに用意した環境をそのまま使えることです。
たとえば、Mac miniでNotionのMCP接続を設定していれば、Remoteでもその接続を使ってNotionへ下書きを作成できます。Mac miniのエージェント側に設定したAPIキー、スキル、ローカルファイル、ブラウザの接続環境なども、作業に利用できます。
そのため、MacBookへ同じAPIキーや設定ファイルを複製する作業を減らせます。秘密情報を複数の端末へ置かずに済む点も利点です。
ただし、ブラウザやデスクトップ画面を使う作業では、接続先のMac miniにComputer UseやChrome拡張機能などの準備が必要になることがあります。
Remoteを使う前に確認したい注意点
便利な仕組みですが、外出前に次の点を確認しておきましょう。
- Mac miniの電源が入っている
- Mac miniがインターネットにつながっている
- Mac miniでCodexアプリが起動している
- スリープで接続が切れない設定になっている
- 接続する端末が同じアカウント、同じワークスペースを使っている
- スマートフォンやMacBookに画面ロックを設定している
- 外部への送信、公開、削除などの重要な操作では承認内容を確認する
- 作業の区切りでGitHubへ変更履歴を保存する
Remoteでは1台のMac mini上で作業を続けるため、2台のパソコン間の同期忘れによるコンフリクトは起こりにくくなります。ただし、複数の作業を同時に進めたり、別の人が同じファイルを変更したりすれば、整理が必要になる場合はあります。
CodespacesやCodex Cloudとは何が違うか
似た選択肢として、GitHub CodespacesとCodex Cloudがありますが、役割が異なります。
Codex Remoteは、普段使っているMac miniを作業場所にします。Mac miniにある設定やMCP、ローカルファイルをそのまま使いたい今回のケースに向いています。
GitHub Codespacesは、GitHub上にクラウドの開発用パソコンを用意する方法です。スマートフォンやMacBookから同じCodespaceを開けますが、長期的な記録にはcommitやpushが必要です。また、Mac専用のアプリや設定をそのまま使う用途には向きません。
Codex Cloudは、依頼ごとにクラウド上の作業環境を用意し、変更結果を差分やプルリクエストとして受け取る方法です。Mac miniとMacBookの中身が自動同期される仕組みではありません。
今回のように「Mac miniに完成しているAIエージェントを、外出先でも同じ状態で使いたい」という目的には、まずCodex Remoteを検討すると分かりやすいでしょう。
まとめ
GitHubで2台のパソコンへ同じプロジェクトを置く方法は、変更履歴を残せる一方、端末を切り替えるたびにpushやpullが必要です。
Codex Remoteなら、AIエージェントと作業ファイルをMac miniに置いたまま、スマートフォンやMacBookから続きを依頼できます。スマートフォンは短い指示や承認、MacBookは長い作業や詳しい確認に使うと便利です。
大切なのは、Remoteに置き換えたからGitHubが不要になるわけではないことです。Remoteは外出先から同じ作業環境を使う仕組み、GitHubは変更履歴とバックアップを残す仕組みと考えると、それぞれの役割が分かりやすくなります。
YMWorksでは、AIエージェントの導入だけでなく、会社の仕事やルールに合わせた運用方法、外出先から安全に使うための環境整理までご相談いただけます。

