前回までで、自社の強みが検算を通りました。
では、その強みをどこに向けるか。中小企業の経営では、ここがもっとも実際的な問題になります。
全部に同じ力を配ると、全部が伸びない
商品が10ある。お客様が50社ある。どれも大切です。
ただ、大切に思うことと、同じだけ手をかけることは別です。
人もお金も時間も限られています。全部に均等に配ると、どれも伸び切らないという結果になります。
では、何を基準に配るのか。売上の大きさだけで決めると、選び方を間違えます。売上が大きくても手元に残らないものも、今は小さくてもこれから伸びるものもあるからです。
2本の線で、四つに分ける
使うのは2つの見方だけです。
縦に「これから伸びそうか」。横に「いま利益が出ているか」。

柱(伸びる × 利益が出ている)
いまも利益が出ていて、これからも伸びる。いちばん良い場所です。
ただし、ここは手を掛けるのをやめた瞬間に落ちます。伸びている場所には、同業も入ってくるからです(第4回)。
限られた力は、まずここに向けます。
稼ぎ頭(伸びない × 利益が出ている)
もう大きく伸びないけれど、安定して利益を生んでいる。
ここの役割は、他を支えることです。稼ぎ頭で得たものを、柱と育て中に回します。
新しい投資は最低限で構いません。ただし、丁寧に維持すること。ここが崩れると、他を育てる余力がなくなります。
育て中(伸びる × 利益が出ていない)
伸びてはいるけれど、まだ利益になっていない。もっとも判断が難しい区分です。
このまま育てば柱になります。しかし、伸びが止まれば見直しに落ちます。
大事なのは、ここを全部育てようとしないことです。育てるのは1つか2つ。選ぶ基準は、第7回で検算した強みが使えるかです。
強みが使えない場所で育てるのは、もっともお金と時間がかかるやり方です。
見直し(伸びない × 利益が出ていない)
伸びもしない、利益も出ない。
ここには、新しい人とお金を入れないのが原則です。
ただし、すぐにやめるという話ではありません。この区分については、後でもう一度触れます。
商品だけでなく、お客様にも使える
この図の便利なところは、お客様にそのまま使えることです。
やることは3つです。
- 主なお客様をリストにする
- それぞれに、いま利益が出ているかを書く
- これから取引が増えそうかを書く
正確な数字は要りません。大きいか小さいかの2つに分けるだけで十分です。
並べてみると、もっとも手間がかかっているお客様が、実は「見直し」の区分にいた、ということが起きます。
半年ごとに見直すと、動きが見える
この図の真価は、一度書いて終わりにしないことで出ます。
半年ごとに書き直すと、どの商品・どのお客様が、どちらへ動いているかが見えます。
場所よりも、向きの方が大事です。今は利益が少なくても、上へ向かっているなら手をかける価値があります。逆に、いまは稼げていても下へ向かっているなら、次の手を考える時期です。
この図の落とし穴
便利な図ですが、このまま信じすぎない方がいい点が3つあります。
ひとつ目。四つに割り切れないものがある。 実際には真ん中に来るものが多くあります。無理にどこかに入れなくて構いません。
ふたつ目。「見直し」でも切れないものがある。 利益は出ていないけれど、それがあるから他の仕事が来ている。看板になっている。長い付き合いのお客様で、紹介の元になっている。こういうものは、数字だけで判断できません。
みっつ目。今日の断面しか写らない。 第2回の「今日の写真」と同じです。外の変化はこの図に写りません。第3回で見た4つの窓とあわせて使ってください。
それでも、この図には大きな価値があります。「どれも大事」で止まっていた話し合いを、先へ進められるからです。
まとめ
限られた人とお金は、伸びと利益の2本の線で四つに分けてから配ります。
まず柱に。次に、強みが使える育て中を1つか2つだけ。稼ぎ頭は丁寧に維持し、見直しには新しい力を入れない。
そして半年ごとに書き直して、向きを見ます。
ここまでで、いまあるものの使い道は決まりました。次回はシリーズ最終回。これ以上お客様が増えないとき、次の売上をどこから作るかを扱います。
YMWorksでは、こうした力の配分の整理から、それに合わせたホームページやIT・AIの活用までご相談いただけます。

